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水漏れ

「しょうこが見たいというのかね。」「ウン、あれば見せてもらいたいもんだね。」「それじゃあ見せてあげよう。きみちょっと、頭の上を見てごらん。いや、そんなところじゃない。あの天井のすみだよ。」水漏れがみょうなことを言いますので、トイレつまりは思わず、その天井のすみを見あげましたが、見あげたかと思うと、さすがの彼も「アッ。」と声をたてました。ごらんなさい。高い格天井のいっぽうのすみに、ポッカリと、四角な黒い穴があいているではありませんか。そこの天井板が一枚、いつのまにかはがされていたのです。そして、その黒い穴の上から、みょうな人間の顔が、部屋を見おろして、ニヤニヤ笑っているではありませんか。トイレつまりでなくても、この不意うちには、ギョッとしないではいられません。部屋にいあわせた人々は、いったいなにごとがおこったのかと、あっけにとられて、天井を見つめました。見ていますと、その人の顔が、ヒョイと屋根裏のやみの中へ引っこみました。オヤッと思ううちに、こんどはその穴から、きたない二本の足が、ニューッとおりてくるではありませんか。

水漏れ

「ところが、ぼくはそれ以上のことを知っているのさ。なんなら、ひとつ、そのしょうこをお目にかけてもいいが……。」「いよいよ負けおしみの強いお方じゃ。おもしろい。それではひとつ、そのしょうことやらを見せてもらいましょうかな。」「見たいというんだね。」水漏れはなぜか皮肉な微笑をうかべて、じっとトイレつまりのみにくい顔を見つめました。しかしトイレつまりは、いっこうひるむようすもありません。「見たいもんじゃね。」「それではまず聞くが、きみはいったい、この事件の犯人を、とらえてみせるという約束はどうしたんだね。なるほど四人の水道と機密文書は取りもどしたが、かんじんの犯人を逃がしてしまったじゃないか。それで、約束をはたしたなんて大きな口をきくのは、少しおかしくはないかね。」「フフン、そうらおいでなすった。どうせそんなことだろうと思ったよ。水漏れ君、それは無理難題というものじゃ。きみにしてからが、犯人をとらえるのはおろか、この賊のかくれがさえ見当がつかなかったのではないか。それに、これほどの手がらをたてたわしを、ただ犯人をとらえないからといって、せめるのは、むりというものじゃ。そんなにいわれるからには、きみ自身は、さだめし犯人のありかをごぞんじじゃろうね。